サナダムシともいわれる犬の寄生虫「条虫症」について

条虫が寄生することで犬に発症する「条虫症」。条虫にはいろいろ種類があり、人間に感染すると重い症状を引き起こす「エキノコックス」などもその一種です。犬には「ウリザネ条虫」という名前の条虫がノミを経由して寄生することが一般的で、下痢や食欲不振などを引き起こします。条虫の駆除薬を使用することで治すことのできる病気です。犬の条虫症についてご紹介します。

目次

犬の条虫症とは

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犬の条虫症(じょうちゅうしょう)は「エキノコックス」「ウリザネ条虫」「豆状条虫」などの寄生虫が犬の体に寄生することで発症します。

一般的にサナダムシなどと呼ばれている虫のことで、感染すると腸に寄生し下痢や食欲不振などの症状を引き起こします。
寄生している数が少ない場合はそれほど症状がみられないことも多いですが、数が増えることで体重が減少したり、毛づやが悪くなります。

エキノコックスについて

エキノコックスというのは条虫といわれる寄生虫の一種で、主にキツネや犬の腸に寄生しています。成虫の大きは1mmから4mm弱ほどで、0.03mmの極めて小さい卵を生み出します。

卵は感染した動物の糞と一緒に排出され、糞を通して野ネズミの体の中に卵が入り感染します。エキノコックスに感染した野ネズミを捕食することでキツネや犬に感染してしまいます。

エキノコックスは他の条虫と違い犬に感染してもほとんど症状が出ることはありませんが、犬から人に感染することで重大な感染症を引き起こします。

ウリザネ条虫について

ウリザネ条虫とは体長15〜80cmほどの瓜のような片節(へんせつ)が連なってできた寄生虫のことです。

ウリザネ条虫は犬に感染してしばらく経つと体の一部(片節)が切り離され糞と一緒に排出されます。排出された片節は外で卵をばら撒いて繁殖していきます。

豆状条虫について

豆状条虫は幅4〜7mm、体長が30〜200cmほどにもなる寄生虫です。
感染したキツネや犬の糞と一緒に豆状条虫の卵が排出され、その卵をうさぎが食べることで孵化して感染します。

豆状条虫が感染しているうさぎを食べることでキツネに感染します。豆状条虫の卵はエキノコックスの卵と非常によく似ているため、識別することが困難であるといわれています。

条虫症の症状

・下痢
・食欲不振
・体重が下がる
・被毛の調子が悪くなる
・肛門付近を舐める
・肛門を地面に擦り付ける
・肛門付近に白い粒がつく

下痢、食欲不振、体重が下がる、被毛の調子が悪くなる

条虫が小腸に寄生することで下痢や食欲不振などの症状がでることがあります。
寄生虫の数が多いと栄養分を条虫に吸収されてしまうため体重が下がったり、被毛の調子が悪くなります。

またウリザネ条虫の場合は米粒のような虫が糞に混じって出てくることもあります。

肛門付近を舐める、肛門を地面に擦り付ける

条虫が寄生していると犬は肛門付近を気にするようになります。そのため頻繁に肛門を舐めたり、かゆみから肛門を地面や壁に擦り付けるような仕草をとります。

肛門付近に白い粒がつく

肛門付近に白い粒のようなウリザネ条虫の片節がつくことがあります。これはトイレの周りや、寝床などにも確認できます。

また長細い条虫の成虫が肛門から糸状に出ている場合もあります。

条虫症の原因

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条虫は条虫の卵やこれらに感染している動物を捕食することで経口感染します。

動物から感染

条虫症は条虫に感染している動物を捕まえて食べることで感染します。
「エキノコックス」の場合は条虫の混ざった犬やキツネの糞を、野ネズミが食べることで卵が孵化してエキノコックスが野ネズミに寄生します。

その後その野ネズミを犬やキツネが食べることで条虫症を発症します。野ネズミのような動物のことを中間宿主といい、最終的に寄生する犬や狐のような動物のことを最終宿主といいます。

「豆状条虫」の場合はうさぎのようなげっ歯類を中間宿主として寄生します。

ノミを通して感染

ウリザネ条虫はノミを通して感染することがあります。ウリザネ条虫の体は瓜のような形をした節がたくさん連なってできており、犬に寄生してしばらくするとこの節を切り離します。

犬の糞と一緒に体の外へ出た片節は卵をばら撒きはじめ、この卵や片節をノミが食べることでウリザネ条虫の幼虫がノミの体に寄生します。

そして何らかの形でノミが犬の口に入ることで、ノミを中間宿主としてウリザネ条虫が犬に感染します。

卵を飲み込むことで感染

感染した動物の糞に混ざった条虫の卵が、口から入ることでまれに条虫が感染することもあります。

糞と一緒に排出された卵は1〜2年の間は感染力を持ったまま生き続けることができます。そのため水や食べ物を通して口の中に入ってしまうと条虫症に感染します。

条虫症の治療法

条虫の治療には条虫症の検査をおこない、駆除薬の投与によって寄生虫の駆除を行います。

条虫症の検査

条虫症の検査は肛門を詳しく観察したり、検便によって糞中の条虫やその卵を検査します。

検便の場合は顕微鏡を使って糞を確認しますが、豆状条虫とエキノコックスの卵は非常によく似ているため識別することが難しいといわれています。

駆除薬の投与

条虫は駆除薬を投与することで治療することができます。多頭飼いしている場合は、一匹からしか症状が出ていない場合でも全ての犬に駆除薬の投与をおこないます。

エキノコックスの場合は「プラジクアンテル」という薬剤を使用することでほぼ100%駆除することができます。

エキノコックス以外の条虫で、寄生している数が少なくほとんど無症状の場合にはニンニクを適量与え続けることで薬を使わずに条虫を駆除することができます。

条虫症の予防法

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条虫の予防には
・ノミの駆除
・生活環境の改善
・食事による予防
が有効です。

ノミの駆除

犬の条虫症は主にノミを中間宿主とするウリザネ条虫によって発症します。そのためノミを駆除することが条虫症の予防になります。

動物病院でもらえるノミの駆除薬で定期的に駆除をおこなったり、首輪にノミ駆除剤を入れておくなどの対策をしましょう。
また散歩帰りにブラッシングしたり、ときどきシャンプーしてあげることも大切です。

生活環境の改善

犬についているノミだけでなく、家にノミを寄せ付けないようにすることも重要です。
こまめに掃除機をかけたり、シーツやカバーなどを洗うことでノミを減らすことができます。

特にソファーやベッドの下はノミが繁殖しやすいので念入りに掃除しておきましょう。
ノミやダニの駆除剤を使用することも有効です。

食事による予防

条虫症は食事でもある程度予防することができます。条虫はニンニクに含まれている硫黄化合物や揮発油などを嫌います。

また条虫によって下痢をしたり、被毛の調子が悪くなったときはかぼちゃが有効です。
腸を掃除して調子を整え、被毛を健康な状態にしてくれます。食べさせすぎると肥満の原因になるので普段の食事の20%ほどをスライスして与えましょう。

Q&A

条虫症は人にも感染しますか?

瓜実条虫は犬と同じようにノミから経口感染することがあります。しかし自覚症状はほとんどなく、小さい子供の場合にだけ腹痛や下痢などの症状が出ることがあります。

人の場合、重大な症状を引き起こすのはエキノコックスです。犬と違い人はエキノコックスにとって中間宿主となるため、卵が口に入ることで感染してしまいます。
感染すると重症化し治療するには手術が必要になることも多いです。

ポイント

飼い犬の場合、豆状条虫やエキノコックスに感染することは稀です。特にエキノコックスは本州、九州、沖縄でも感染がみられますが、感染のほとんどが北海道なのでそれ以外の地域に住んでいる場合はあまり心配いらないかもしれません。

そのため犬の条虫症は、ウリザネ条虫の寄生が原因となることが多いので、感染を防ぐためにはノミを予防することが重要となります。ノミは条虫症以外でもさまざまな悪さをするので掃除、洗濯や駆除剤を使って追いはらいましょう。