発症することで99.9%死に至る犬の病気「狂犬病」について

狂犬病は発症することでほとんど100%死に至る恐ろしい病気です。また人を含むすべての哺乳類に感染し、治療法はありません。そのため飼い犬の登録とワクチンによる予防接種が義務付けられており、証明書を提出する必要があります。通常4月から6月の時期に予防接種を打ちますが、他のワクチンを打った場合しばらく間隔をあけなければなりません。このまとめでは犬の狂犬病についてご紹介します。

目次

犬の狂犬病とは

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狂犬病とは狂犬病ウイルスに感染することによって発症する病気のことです。
狂犬病という名前から犬だけに発症する病気のように思えますが、犬だけでなく人にも共通するウイルス感染症で、ほとんどすべての哺乳類に感染します。

狂犬病ウイルスが体内に侵入することで狂犬病を発症すると、食欲不振や暗い場所に隠れるなどの症状があらわれ、その後凶暴になりよだれをダラダラと流す興奮状態が続き死に至ります。

この症状以外にも筋肉が麻痺して昏睡状態に陥って死亡することがあります。

狂犬病の致死率は99.9%

狂犬病ウイルスはラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスで英名は「rabies virus」といいます。
主に狂犬病ウイルスに感染している動物の唾液にいるウイルスが傷口などから侵入することで感染します。

人にも感染する人獣共通感染症の1種で、発症するとほぼ100%の確率で死んでしまいますが、狂犬病が発症する前にワクチン接種をすることで未然に防ぐことができます。

狂犬病ウイルスに感染している動物に噛まれた後にワクチン接種を受けても間に合います。

日本は狂犬病ウイルス清浄地域

日本は国内から狂犬病ウイルスを完全に排除した「清浄地域」と呼ばれており、1956年以降は発症が確認されていません。

ほかにも英国、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、ハワイ、グァム、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドなども清浄地域とよばれています。

犬の狂犬病の症状

狂犬病の症状は狂騒型(きょうそうがた)と沈鬱型(ちんうつがた)に分かれ、ほとんどの犬は狂騒型を発症します。

狂騒型は症状の進行によって前駆期、狂騒期、麻痺期の3段階に分かれます。

前駆期の症状
・食欲不振
・不安がる
・暗い場所に隠れる
・近寄らなくなる

狂騒期の症状
・水を怖がる
・興奮状態が続く
・攻撃的になる
・よく吠える
・なんでも食べるようになる
・凶暴な顔つきになる

麻痺期の症状
・よだれを大量に垂らす
・立てなくなる
・衰弱する
・昏睡状態に陥る

狂犬病の前駆期

狂犬病を発症するとまず前駆期と呼ばれる時期からはじまります。

主に食欲不振や元気がなくなり、犬が不安がるようになります。そのため暗い場所に隠れる、人懐っこい犬が近寄らなくなるなどの症状があらわれます。

また反対に攻撃的だった犬が従順になることもあります。

狂犬病の狂騒期

前駆期が終わり狂騒期に入ると飼い犬が凶暴になったり、「恐水症(きょうすいしょう)」という極端に水を怖がる症状などの特徴的な症状がではじめます。

ほかにも顔つきが変わる、異物をよく食べるようになるなどの症状があらわれ、犬の興奮状態が続き攻撃的になるため咬傷事故が多発するようになります。

狂犬病の麻痺期

狂騒期が2~4日ほど続くと、麻痺期がはじまります。麻痺期に入るとよだれを大量に垂らす、立てなくなる、けいれんを起こす、などの症状がではじめ昏睡状態に陥り1〜2日で死んでしまいます。

犬の狂犬病の原因

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狂犬病は狂犬病ウイルスに感染した動物の唾液が傷口から侵入することで感染し、2〜6週間ほどの潜伏期間の後に発症します。

狂犬病ウイルスの感染経緯

狂犬病ウイルスは狂犬ウイルスに感染している動物の唾液に含まれています。
そのため感染している動物に噛まれることで傷口からウイルスが侵入し感染してしまいます。

そして体の中に侵入したウイルスは脳や脊髄へと広がっていき、中枢神経に障害を引き起こします。

感染の危険がある動物

日本は狂犬病清浄地域なのでほとんど心配はいりませんが、海外には狂犬病ウイルスを伝染させる危険のある動物が複数います。

清浄地域以外の野良犬、猿、その他の野生動物は、狂犬病ウイルスに感染している可能性があります。
アメリカでは特にコウモリ、キツネ、アライグマ、スカンクからの狂犬病感染が多いため危険視されており、リスや野良猫などからの感染も報告されています。

犬の狂犬病の治療法

狂犬病は発症すると100%近く死に至るため、治療法はありません。
しかし、ウイルスが感染してから発症するまでに2週間〜6週間ほどの潜伏期間があるため、その間にワクチンを数回摂取することで発症を防ぐことができる場合があります。

犬の狂犬病の予防法

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・予防接種を受ける
・海外の野生動物に噛まれないようにする

予防接種を受ける

狂犬病を予防するためにはワクチン接種による予防接種を受ける必要があります。
日本では「狂犬病予防法」という法律があるため、飼い犬は年に一回の予防接種が義務付けられており、畜犬登録が済んでいる犬に毎年4月から6月頃に狂犬病ワクチンの集団接種の通知が送られてきます。

伝染病を予防する混合ワクチンを打った場合、狂犬病ワクチンを打つまでに1ヶ月以上あけなければいけません。

ワクチンは一回約2,500円〜5,000円ほどになります。

海外の野生動物に噛まれないようにする

あまり一般的ではないですが、もし海外に飼い犬を連れて行く場合はなるべく現地の野生動物や野良犬、野良猫に近づけないようにしましょう。

これは飼い主も同じです。特に犬は毎年のワクチンが義務付けられているため、飼い犬よりも飼い主の方が危険な場合があります。
危険が考えられる場合は飼い主もワクチンを接種しておきましょう。

もしも噛まれてしまったら

もし海外で野生動物に噛まれてしまった場合はすぐに石鹸でよく傷口を洗いましょう。
消毒液やエタノールで消毒すると大半のウイルスは死滅します。

噛まれた場合はその日のうちに一度ワクチンを打つ必要があり、その後も3日,7日,14日,28日後と合計5回のワクチンを接種します。

これは犬に限らず人の場合も同じです。噛まれた場合はすぐに病院へ行きましょう。

Q&A

日本にいる限り狂犬病の心配はありませんか?

日本は狂犬病の清浄地域と呼ばれていて1956年以降は発症が確認されていません。
日本では「狂犬病予防法」が制定されており、飼い犬の登録、1年に1回の予防接種、ペットの放し飼いの禁止、野良犬の捕獲、輸出入動物の検疫などをおこなっています。
そのため日本で感染することはほとんどありません。

しかし、最近ではペットブームによってさまざまな動物が海外から輸入されています。
輸入動物の検疫が義務付けられているためほとんど心配は要りませんが、狂犬病はすべての哺乳類に感染するので、アライグマや猿などに噛まれることで感染する可能性があるかもしれません。

日本は清浄地域なのにどうして狂犬病の予防接種が義務付けられているのですか?

日本では狂犬病予防法が制定されており、飼い犬の登録、1年に1回の予防接種が義務付けられています。

これには賛否両論あり、再び日本で狂犬病が発生した際に大きな混乱が避けられないほど恐ろしい病気であると考えられていることや、輸入犬に対して厳しい検疫がおこなわれていますが犬以外にもたくさんの動物が輸入されており、近隣諸国でも発病が確認されているためいつどこからウイルスが入ってくるかわからないと考えられているからです。

しかし日本と同じく清浄地域であるイギリス、フランス、オランダ、スイス、オーストラリアなどは狂犬病ワクチンの義務化を廃止しています。
また清浄地域でないアメリカでも狂犬病の予防接種は毎年する必要がなく、3年に1回となっています。

輸入で入ってくる動物が多いとはいえ、必ず検疫がおこなわれている清浄地域の日本で毎年予防接種を受ける必要があるのかを疑問視する声も多くあります。

ポイント

狂犬病は一度発症してしまえばほぼ確実に死に至る恐ろしい病気です。治療法がないため感染を防ぐにはワクチンを打つしかありません。
日本ではここ60年ほど発症が確認されていない病気ですが、海外では野生動物や野良犬、野良猫が感染している可能性があるため十分に気をつけましょう。

日本では狂犬病の予防接種は法律で義務付けられています。しかし、実際のところ30%近くの飼い主が飼い犬に狂犬病の予防接種を受けさせていません。
狂犬病の予防接種には賛否両論ありますが、やはり義務付けられている以上は飼い主として犬に狂犬病のワクチンを受けさせなければなりません。

日本は輸入動物に対して厳しい検疫を行っていますが、検疫にも穴があるため多くの動物が検疫をすり抜けて入国しているのも事実です。
ワクチン接種に疑問を持たれている方も多いかもしれませんが義務となっている以上は守る必要があります。