感染した菌の種類で症状が違う犬の病気「レプトスピラ症」について

レプトスピラ症とはレプトスピラ菌が感染することによって発症する病気のことです。レプトスピラ菌にはいくつか種類があり、高熱や出血、腎炎や口内炎など感染した菌の種類によって発生状況が異なります。感染経路は主にネズミの尿といわれており、潜伏期間を経て人に発症することもあります。培養検査によって菌を特定して治療をおこない、予防にはワクチン接種をおこないます。今回は犬のレプトスピラ症についてまとめました。

目次

犬のレプトスピラ症とは

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犬のレプトスピラ症とは犬の「レプトスピラ菌」に感染することで発症する感染症のことです。

レプトスピラ症には不顕性型(ふけんせいがた)、黄疸型(おうだんがた)、出血型があり、不顕性型では全く症状がでませんが、黄疸型では高熱が出たり口の粘膜や舌が出血するなどの症状がみられ、尿が濃くなります。出血型では鼻血や吐血、血尿などの出血症状がでてきます。

レプトスピラ症は日本の感染症法で四類感染症に指定されているので、診断した医師は届出を保健所に提出する義務があります。

レプトスピラ菌について

レプトスピラ菌とはらせん状をした「スピロヘータ」という細菌の一種のことで、250以上の血清型(細菌の型)があります。

犬だけでなく人にも感染する人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)のひとつで、猫やうさぎなどのペットや牛、豚、羊などの家畜やネズミにも感染します。
人への感染は亜熱帯地域に多く、日本では沖縄で集団感染が起きたこともあります。
体内に侵入したレプトスピラ菌は血液により全身に広がり増殖し、肝臓や腎臓を侵していき、黄疸や出血、腎不全などの症状があらわれる場合と無症状で菌を繁殖させる場合に分かれます。
ネズミなどは主に無症状の不顕性型で、菌を周囲にばらまくため感染源になることが多いです。

犬のレプトスピラ症の症状

レプトスピラ症を発症した場合、不顕性型、黄疸型、出血型にわかれ、それぞれ症状が異なります。

黄疸型
・黄疸がでる
・食欲不振
・高熱がでる
・口の粘膜や舌が出血する
・よだれがたくさんでる
・口臭がアンモニア臭くなる
・尿が濃くなる

出血型
・高熱
・嘔吐
・血便
・血尿
・鼻血
・黄疸がでる

不顕性型
・無症状

黄疸がでる

レプトスピラ症が発症した犬の多くに、白目やお腹の皮膚や口の中が黄色く変色する黄疸の症状がみられます。
この症状は黄疸型だけでなく出血型にもでてきます。

黄疸型

ワイル型ともいい、主に黄疸、下痢、嘔吐や口の中の出血などの症状がでてきます。
出血型よりも症状が重い場合が多く、発症してから早い段階で黄疸や出血がみられ、「尿毒症」を引き起こして数日で死に至ることもあります。

出血型

出血型はカニコーラ型ともいい、症状は40度以上の高熱からはじまります。
「腎炎」や「出血性腸炎」を引き起こし、嘔吐や血便、血尿などの症状があらわれます。

末期状態になると尿毒症を引き起こして死に至ります。

不顕性型

レプトスピラ菌に感染された犬のほとんどは無症状の不顕性型になります。
症状はでませんが体内に入るレプトスピラ菌が尿と一緒に排出されるため、感染が広がる恐れがあります。

犬のレプトスピラ症から併発する病気

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犬の腎炎

腎炎とは腎臓に炎症が起きることで血液を正常にろ過することができなくなり、体に老廃物や毒素が溜まってしまう病気のことです。
レプトスピラ菌に感染し、出血型レプトスピラ症を引き起こすことで発症します。

詳しくは”犬の「腎炎」について”を参考にしてみてください。

犬の「腎炎」について

犬の腸炎

腸炎とは何らかの原因によって犬の腸に炎症が起きる病気のことです。
腸炎を発症させると嘔吐、下痢、血便などの症状がではじめ、栄養失調や貧血などを引き起こして死に至ることもあります。

出血型レプトスピラ症を発症させることで腸が出血し炎症が起きることによって発症します。

詳しくは”犬の「腸炎」について”を参考にしてみてください

犬に「腸炎」について

犬の尿毒症

尿毒症とは尿が排出されないことによって老廃物、毒素が体中を周り、異常をきたす病気のことです。

レプトスピラ症によって腎臓にダメージを負い、正常に機能しなくなることで発症します。
すでに末期な場合が多く、発症して短期間で死に至る場合もあります。

犬のレプトスピラ症の原因

・ネズミが感染源
・菌が口の中や傷口から入る
・交尾をおこなう
・黄疸出血性レプトスピラに感染
・イヌ型レプトスピラに感染

ネズミが感染源

レプトスピラ症はレプトスピラ菌に感染することで発症します。
感染源は主にネズミで、レプトスピラ菌に感染したネズミの尿と一緒に菌が排出され広がっていきます。

ほかにも感染している犬の尿や牛や豚などが感染源となることもあります。

菌が口の中や傷口から入る

直接菌が含まれた尿を口に入れてしまったり、細菌に汚染された水や食べ物を口に入れることで口の粘膜を通して感染してしまいます。

ほかにも傷口から菌が入ることで感染してしまうことがあります。

交尾をおこなう

レプトスピラ菌に感染している犬と交尾をおこなうことで、菌がうつることがあります。
犬同士の交尾が原因の場合は、メス犬に特にうつりやすいといわれています。

黄疸出血性レプトスピラに感染

レプトスピラ菌にもたくさんの種類があり、黄疸出型のレプトスピラ症は黄疸出血性レプトスピラ、別名「レプトスピラ・へクテロヘモラジー」に感染することで発症します。

この黄疸出血性レプトスピラ菌は人に感染することもあります。

イヌ型レプトスピラに感染

出血型のレプトスピラ症は犬型レプトスピラ菌、別名「レプトスピラ・カニコーラ」に感染することで発症します。

犬のレプトスピラ症の検査法や治療法

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レプトスピラ菌の検査方法
・培養検査
・顕微鏡法

レプトスピラ症の治療方法
・投薬治療
・対症療法

培養検査

培養検査をして細菌を調べます。
感染の疑いがある犬の血液を採取し培養をおこなうことで原因菌を特定することができます。

顕微鏡法

血液や尿を採取し、暗視野顕微鏡で直接レプトスピラ菌を探します。早期診断が可能ですが、判断が難しい場合が多いといわれています。

投薬治療

犬のレプトスピラ症の治療には抗菌剤や抗生物質を使用します。
ペニシリンやストレプトマイシンなどによって、主に腎臓に生息しているレプトスピラ菌を除菌します。

対症療法

腎不全や、肝臓、消化器症状の症状を抑えるために対症療法を行います。
さらに脱水症状や尿毒症がある場合には強腎剤、ブドウ糖などによる点滴で体力を回復させます。

犬のレプトスピラ症の予防法

・ワクチン接種
・拾い食いに気をつける

ワクチン接種

犬のレプトスピラ菌を予防するにはワクチン接種が効果的です。

使用するワクチンは複数の伝染病ウイルスを予防する混合ワクチンの接種が有効で、3種混合、5種混合、7種混合、8種混合などさまざまな種類があるため、この中からレプトスピラ症の予防に効果があるものを使用します。

レプトスピラ症の予防にはレプトスピラ・へクテロヘモラジーとレプトスピラ・カニコーラの感染を防ぐワクチンを接種する必要がり、一般的に7種混合以上のワクチンを打つことになります。

混合ワクチンの料金は動物病院や種類よっても違いますが、およそ4,000円から10,000円程度です。獣医さんと相談してレプトスピラ症を予防する効果のあるワクチンを選択しましょう。

ワクチン接種のタイミング

ワクチンを打つタイミングは一般的に免疫力の弱い生後2ヶ月で1回、生後3ヶ月で1回、生後1年で1回、ワクチン接種をおこないます。

ワクチンを打つタイミングや回数についてはいろいろな意見がありますが、それ以降のワクチン接種は3年に1回摂取、または毎年接種した方がいいという意見や老犬には打たないほうがいい、10歳を過ぎれば必要ないなどさまざまです。

またがん治療をおこなっている犬や、妊娠中のメス犬の場合はワクチン接種を受けることができないので注意が必要です。

ワクチン接種による副作用

ワクチンを接種することによって副作用が出てしまう場合もあります。
軽度なものだと注射した場所が腫れる、少しの間食欲が低下するなどがあり、重度な副作用では強いアレルギー反応であるアナフィラキシーショックがでたり、まれに心不全を引き起こすこともあります。

またレプトスピラを予防するワクチンには不、活化ワクチンというすでに死んでいるウイルスや細菌などを使用した副作用が出ないワクチンもあります。

しかし免疫力の持続時間が短いなどの短所があるため、、ワクチンの種類や回数、タイミングは飼い犬のアレルギーの有無や犬の体調や生活環境を考慮したうえで動物病院と相談してから決めるようにしてください。

拾い食いに気をつける

レプトスピラは菌が含まれた尿や、それによって汚染された水、食べ物を口に入れることで感染してしまいます。
そのため菌が含まれた尿に汚染された地面や、水たまりや拾い食いをすることによって感染してしまう可能性があります。

散歩中の拾い食い、水たまりを飲む、おしっこに近づくなどの行為は未然に防ぐことが大切です。

Q&A

レプトスピラ菌は犬から人に直接感染することはありますか?

犬の尿や体液を通して感染することがあります。特に黄疸型の症状を引き起こしている場合は感染の危険があるので注意が必要です。

犬の世話をした後はからなず綺麗に手を洗うなどの消毒をおこないましょう。

レストスピラ菌が人に感染するとどうなりますか?

レストスピラ菌が感染すると3日〜3週間の潜伏期間の後、頭痛、発熱、腹痛、吐き気、嘔吐、体の痛みがあらわれて皮膚に発疹が現れることもあります。

その後、黄疸によって体が黄色くなったり、臓器に異常があらわれて死に至ることもあります。

ポイント

犬のレプトスピラ症は菌が感染しても無症状の場合が多いですが、出血型や黄疸型などが発症すると重症化してしまう怖い病気です。
また不顕性感染の場合でも症状が出ていないだけで、しばらくの間、尿からは菌が排出され続けています。

そのため知らないうちにほかの犬や動物に感染させられる恐れがあるため、ワクチン接種による予防が重要になります。
特に地域で広がっているという情報を耳にした場合は必ず予防接種を受けるようにしましょう。