下痢や嘔吐などの症状がでる犬の病気「カンピロバクター症」について

カンピロバクター菌に感染することで発症することがある病気「カンピロバクター症」。ほとんどの犬は無症状ですが、子犬に感染した場合は下痢や嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。また排泄物を通して人にうつることがあり、人が感染すると同じように下痢や嘔吐などの症状がでるようになります。治療は主に抗生物質による投薬治療をおこないます。今回は犬の病気、カンピロバクター症についてまとめました。

目次

犬のカンピロバクター症とは

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カンピロバクター症は「カンピロバクター・ジェジュニ」や「カンピロバクター・コニ」という細菌に感染することで発症します。

感染経路は経口感染で、何らかの原因で菌が口に入ることによって発症します。
犬に感染した場合は多くが無症状ですが、子犬など免疫力の弱い犬に感染すると腹痛、下痢、嘔吐などの消化器症状を引き起こします。

カンピロバクター菌について

カンピロバクターとは「曲がった細菌」という意味があり、その名の通りカンピロバクター菌はらせん状に湾曲した形をしています。

犬のカンピロバクター症を引き起こす菌には主に、カンピロバクタージェジュニとカンピロバクターコリの2つがあり、どちらも人や牛、豚などの家畜、野鳥などに感染します。

犬に感染するカンピロバクター菌の大半はカンピロバクタージェジュニの方で、1日から1週間ほどの潜伏期間を経て発症します。

カンピロバクター菌は感染した動物の腸内で生息して有害物質をだすため、腸の機能が低下し消化器症状を引き起こします。

犬のカンピロバクター症の症状

・元気がなくなる
・食欲の低下
・発熱
・腹痛
・下痢や嘔吐
・血便
・無症状

元気がなくなる、食欲の低下、発熱

カンピロバクター菌に感染してから1〜7週間の潜伏期間を経て犬の元気がなくなる、食欲が低下する、熱がでるなどの症状があらわれます。

症状が軽い場合はこれらの症状に加えてやや便が軟らかくなる程度で、数日後自然に症状が治まることもあります。

腹痛、下痢や嘔吐、血便

カンピロバクター菌が腸内へ侵入して毒素をだすことで腸の機能が低下し、腹痛、下痢や嘔吐、ひどい場合だと便に血が混じるようになります。

無症状

カンピロバクター菌に感染した犬のほとんどは何の症状も示さない不顕性感染(ふけんせいかんせん)になります。

症状がでていなくても菌は感染しているため犬の便にはカンピロバクター菌が付着しており、ほかの犬が感染する原因になります。

また犬の2匹中1匹は何の症状がでていなくてもカンピロバクター菌を保有しているといわれており、知らぬ間に菌に感染している可能性があります。

犬のカンピロバクター症の原因

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カンピロバクター菌が犬に感染し腸内で毒素をだすことが原因で消化器症状を引き起こします。

カンピロバクター菌の感染経路
・経口感染

カンピロバクター症を発症する原因
・免疫力の低下

経口感染

カンピロバクター菌は、主に食べ物や飲み物などを通して犬の体内に侵入します。
菌は感染した動物の排泄物に付着しているため、これらに直接ふれたり汚染されているフードや水を口に入れることで感染します。

特に古くなったドッグフードや飲み水、生ゴミや拾い食いなどが原因となることが多いです。また食肉の解体処理の過程でカンピロバクター菌が付着することがあるため、生肉にもともと付着していることがあります。

免疫力の低下

カンピロバクター菌が犬に感染してもほとんどの場合は症状がでることはないので、免疫力の弱い子犬を除くと犬がカンピロバクター症を発症させることは稀です。

しかし何らかの理由によって、免疫力が低下しているとカンピロバクター症を発症することがあります。

免疫力はほかの細菌やウイルス、寄生虫による感染症にかかっている、栄養不足、ストレスを感じているときなどに低下します。

犬のカンピロバクター症の治療法

・自然治癒
・投薬治療
・対症療法

自然治癒

特に治療をおこなわなくても、ほとんどの場合は自然に治癒していきます。
そのため症状が重い場合以外は自然治癒させることが一般的です。

投薬治療

カンピロバクター症の症状が重い場合は抗生物質による投薬治療をおこないます。
主にエリスロマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールなどによって細菌を駆除していきます。

対症療法

消化器症状がでている場合は症状を緩和するための対症療法をおこないます。
腸の粘膜を保護するために腸粘膜保護薬を使用したり、下痢や嘔吐などがひどく脱水症状の恐れがある場合はリンゲル液やブドウ糖液などを点滴します。

犬のカンピロバクター症の予防法

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・衛生管理に気を配る
・免疫力を高める

衛生管理に気を配る

カンピロバクター菌を予防するには衛生管理に気を配ることが大切です。
古いドッグフードを与えない、飲み水はこまめに変えるようにしましょう。

特に夏場は菌が増殖しやすいので気を配る必要があります。また散歩中の拾い食い、水たまりを飲む、家の生ゴミをあさるなどの行動にも気を付けましょう。

免疫力を高める

通常、カンピロバクター菌に感染されても免疫力があれば症状がでることはありません。
免疫力を高めるためには腸内環境を整えることや毎日の運動、栄養バランスが取れた食事をとることが大切です。

犬の免疫は腸内細菌のバランスが大きく関わっているといわれているので、乳酸菌をサプリメントや食事から摂取することが効果的です。

またビタミンA、ビタミンU、食物繊維などは腸に良いといわれています。お腹の調子が悪いときは脂肪分が少なくて、できるだけ消化吸収のよいものを与えてください。

ストレスを感じることで免疫力は低下してしまうので、きちんとコミュニケーションをとって犬にストレスをためさせないように心がけましょう。

Q&A

犬からカンピロバクター菌がうつることはありますか?

カンピロバクター菌はさまざまな動物に感染する人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)の一つです。
そのためカンピロバクター菌に感染している犬の排泄物を通して人に感染することがあります。

犬がカンピロバクター菌に感染している場合のほとんどが不顕性感染なので、知らず知らずのうちに犬の糞などを通して感染してしまう危険があります。

カンピロバクター菌が人に感染するとどのような症状がでますか?

カンピロバクター菌が人に感染すると1日から最大1週間ほどの潜伏期間を経て、発熱や体のだるさがでるようになります。
その後吐き気や腹痛に襲われるようになり、下痢や嘔吐などの消化器症状がではじめます。
水のような下痢になりトイレにいく回数が増え、便に血が混じることもあります。

カンピロバクター症によって重大な障害を引き起こしたり、死に至るようなことはほとんどないので犬と同じように自然治癒することも可能ですが、下痢や嘔吐が続く場合は脱水症状の恐れもあるため、なるべく早く病院へ行って薬を出してもらうようにしましょう。

カンピロバクター菌が犬から人へ感染するのを防ぐために気をつけることはありますか?

カンピロバクター菌は感染している犬の排泄物に付着しているので、犬が糞をしたらすぐに片付けるようにしましょう。

特に犬が下痢している場合は周囲に飛び散っている恐れがあるので周囲を殺菌、消毒してしっかり手を洗うようにしてください。
おもちゃやフードの容器など、犬の周辺で菌に汚染されている心配があるものはきれいに洗うようにしましょう。

またカンピロバクター菌は生肉や半生の肉から感染することも多いです。
カンピロバクター菌は60℃以上の温度で1分ほど加熱することで死滅させることができるのでしっかり火を通すことが大切です。

カンピロバクターに感染した犬の症例

生後3ヶ月のポメラニアンが食後、下痢をしていたため動物病院で診察を受けることになった。

下痢の症状は軽く、ワクチン接種をおこなっていたため特に重症化する恐れはないと判断され整腸剤が処方された。
しばらくの間、安静にして様子を見ていると2、3日で下痢がおさまり回復した。

しかしその一週間後、6歳のお子さんが発熱、腹痛、下痢の症状をうったえるようになり、病院で検査したところカンピロバクター菌に感染していることが判明した。

お子さんはよくポメラニアンと遊んでいたため、犬のカンピロバクター菌がうつったと考えらる。

ポイント

カンピロバクター症は犬にとってはそれほど重大な病気ではありません。カンピロバクター菌に感染してもほとんどの犬は無症状で、子犬に感染した場合でも重症化する可能性は低く、数日で自然治癒することも多いです。

しかし、人が感染することで激しい下痢や嘔吐などを引き起こします。この病気は鶏肉からの食中毒を含めるとノロウイルスについで発生件数が多い病気といわれています。

何の症状も示さない健康な犬の2匹に1匹はカンピロバクターを保有しているといわれているので、普段から犬の糞を処理するときは十分気をつけるようにしましょう。