アヴリル・ラヴィーンが感染したことで有名になった犬の病気「ライム病」について

ライム病とはボレリア菌という細菌が犬に感染することで発症する病気のことです。ボレリア菌は主にマダニによって媒介され、血を吸う際に唾液と一緒に犬の体内に侵入して感染します。ライム病を発症すると関節やリンパ節の腫れ、痛みなどの症状がでるようになり、腎炎や腎不全などを併発することがあります。また人も感染することがある人獣共通感染症の一つで治療には抗生物質を使用します。犬のライム病についてご紹介します。

目次

犬のライム病とは

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ライム病とはボレリア菌という細菌に感染することで発症する感染症のことです。
ボレリア菌は主にマダニに噛まれることによって感染するので「バベシア症」や「Q熱」などと同じくマダニによって媒介される代表的な病気の一つです。

ライム病はボレリア菌に感染した犬のおよそ5%にだけ発症する比較的めずしい病気です。

ライム病を発症するとリンパ節や関節が腫れて痛みをともなうようになり、歩行が困難になってしまうことがあります。
また急性腎不全、糸球体腎炎などを併発させます。

ボレリア菌について

ライム病の原因菌であるボレリア菌はいくつかの種類が確認されています。
日本では「ボレリア・ガリニ」や「ボレリア・アフゼリ」という種類が主流で、主に北海道や長野県で多く発生が報告されています。

1995年には「ボレリア・ミヤモトイ」という新種が北海道で発見されたためほかにも種類があると思われます。

ボレリア菌は主にネズミや野鳥などが保菌しており、マダニを介して犬に感染します。ボレリア菌は犬の体内に入ると血液を通って全身に広がり炎症を起こします。

マダニについて

マダニとは体長3、4mmほどで8本の足を持った吸血動物のことで、生きた動物の血液を栄養源として幼ダニ、若ダニ、成ダニへと成長し、繁殖していきます。

幼ダニは生後4〜7日ほどで動物の血を吸い、地面に降りて脱皮します。その後1〜2週間で若ダニへと成長して次の宿主に寄生できる状態になり、新しい宿主を探します。

新しい宿主を見つけたマダニは再び血を吸って脱皮することで成ダニへと成長し、メスはその後卵を産むために吸血を続け、およそ2000〜3000個ほどの卵を生み出します。
卵はおよそ1ヶ月ほどで孵化し成長と繁殖を繰り返していきます。

日本では主にシュルツェ・マダニ、フタトゲチ・マダニなどが一般的です。

犬のライム病の症状

ライム病の症状
・食欲不振
・発熱
・関節が腫れる
・関節痛
・歩行障害

ライム病の症状による犬の変化、行動
・元気がなくなる
・さわられるのを嫌がる
・足を引きずって歩く

食欲不振、発熱

ライム病を発症するとまず元気がなくなり、食欲不振、発熱などの風邪のような症状があらわれます。またマダニに刺された箇所は赤く膨れあがります。

関節が腫れる、関節痛

マダニに刺されてからおよそ半日から1日ほどでボレリア菌が血液を通って全身に広がり、リンパ節や関節が腫れあがります。

それによって関節に痛みがでるようになり、さわられるのを嫌がるようになります。

歩行障害

ボレリア菌による炎症が広がることで関節が腫れ、足を引きずって歩くようになるなどの歩行障害を引き起こすようになります。

ライム病から併発する病気

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犬の急性腎不全

急性腎不全とは何らかの原因によって腎臓の機能が低下する病気のことです。
腎臓の機能が低下することで体の老廃物が血液に溜まり、嘔吐、痙攣、体温低下などの症状があらわれます。

ボレリアの感染が腎臓にまで広がることで急性腎不全を併発することがあります。

詳しくは”犬の「腎不全」について”を参考にしてみてください。

犬の「腎不全」について

犬の糸球体腎炎

糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)とは、何らかの原因によって腎臓に炎症が起きる病気のことをいいます。

単純に腎炎ともいい、尿に異常が見られるようになり、血液がろ過されないため体の中に老廃物や毒素が溜まってしまいます。

詳しくは”犬の「腎炎」について”を参考にしてみてください。

犬の「腎炎」について

犬のライム病の原因

ライム病はボレリアという細菌が犬に感染することによって発症します。
ボレリア菌は犬がマダニに噛まれることによって感染します。

マダニに噛まれる

ライム病の原因となるボレリア菌は主にマダニによって媒介されます。
犬がボレリア菌を保菌したマダニに寄生され、血を吸われることでボレリア菌は犬の体内に侵入します。

ボレリア菌が犬の体内に侵入した場合、必ずしもライム病を発症するわけではなく、症状があらわれるのはボレリア菌に感染した犬の約5%ほどといわれています。

そのためほとんどは無症状で、ライム病を発症させることはありません。

犬のライム病の検査法、治療法

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ライム病の検査方法
・触診、問診
・血液検査

ライム病の治療方法
・投薬治療

ライム病の検査方法

検査は主に問診や触診で関節の腫れをみたり症状などを飼い主から聞いて判断しますが、珍しい病気ということもあって検査によってはっきりと診断できない場合も少なくありません。

また検査方法は血液検査をおこなうことも多いですが、ライム病の抗体がみられるようになるまでおよそ1ヶ月ほどかかるため、噛まれた直後では確認できないこともあります。

投薬治療

治療には抗生物質の投与による投薬治療をおこないます。
主にテトラサイクリンやドキシサイクリン、アモキシシリンなどを投与しますが、細菌を全て駆逐できないこともあり繰り返し再発してしまう場合もあります。

またライム病によって腎不全や糸球体腎炎などを併発している場合は、これらに対する治療も並行しておこないます。

犬のライム病の予防法

マダニを予防する

ライム病を予防するには、原因菌であるボレリアを媒介するマダニを予防する必要があります。

マダニを防止するためには予防薬を投与したり、マダニが多く生息している場所には近づかないようにしましょう。

マダニが多く生息している場所に近づかない

マダニに刺されないためには、マダニが生息している場所に近づかないことが大切です。
マダニは主に山岳地帯や森林、草むら、藪の中、田んぼなどに多く生息しています。

また春から秋にかけてがマダニの活動期で、その中でも特に5月から9月にかけて活発に活動しているので、これらの時期はなるべくマダニが多く生息している場所には近づかないようにしましょう。

もしどうしても入らなければいけない場合は、あらかじめ予防薬を投与することをお勧めします。マダニによる被害は日本各地でもいくつか報告されているので注意しましょう。

マダニの予防薬を投与する

マダニを防ぐには定期的に予防薬を使用することが有効です。
マダニに刺される心配がある場所に行く場合や、すでに寄生している可能性がある場合はマダニの繁殖を防ぐために「フロントラインプラス」のような駆除剤を使用しましょう。

ライム病の予防にオススメのアイテム

フロントラインプラス

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出典:www.amazon.co.jp

マダニの駆除、予防に効果的な医薬品「フロントラインプラス」は使用後24時間以上経てば、シャンプーをしても1ヶ月ほど効果が持続します。

マダニ以外にもノミの成虫、シラミなどの害虫を駆除してくれる効果もあります。

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アース・バイオケミカル ハッピーペット 医療用マダニとりピンセット

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マダニは無理やり取り除こうとすると顎の一部が食い込んだまま残ってしまう恐れがあります。
そのため散歩帰りや、家の中で犬にマダニが付いているのを確認した場合は専用のノミ取りを使用しましょう。

必ずしも上手く取れるとはかぎらないので、マダニを見つけたらなるべく病院へ連れて行くようにしましょう。

医療用マダニとりピンセット

Q&A

ライム病が人に感染することはありますか?

ライム病はマダニを介して感染する人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)の一つで、歌手のアヴリル・ラヴィーンが感染していたということで、一時期話題になりました。

人の場合はマダニからだけでなく、ボレリア菌に感染している犬の唾液から感染することもあります。

犬の場合、ボレリア菌に感染してもライム病を発症する確率は5%ほどですが、人がボレリア菌に感染した場合は約75%でライム病を発症します。

人がライム病を発症するとどのような症状がでますか?

ライム病が人に感染すると、発熱、寒気、体がだるい、関節が痛いなど、インフルエンザと同じような症状がではじめます。

その後ボレリア菌が全身に回ることで皮膚炎や神経症状、不整脈などを引き起こすようになります。

ポイント

ライム病を防ぐにはマダニの防止が不可欠です。ライム病は犬にそれほど多くみられる病気ではありませんが、ライム病の原因となるマダニは「Q熱」や「バベシア症」などを引き起こす原因になります。そのためマダニを防止することでこれらの病気が発症するのを防ぐことができるので、予防を徹底しておきましょう。

またライム病は飼い主に感染する可能性があり、人に感染することで重症化することもある怖い病気です。自分の身を守るためにも夏のアウトドアで草むらや山に出かけるときは注意しましょう。