人にうつる恐ろしい犬の寄生虫症「エキノコックス症」について

寄生虫であるエキノコックスが感染することで発症する病気「エキノコックス症」。飼い犬の感染は稀で、発症しても症状はほとんどない病気ですが、犬から人へと感染することがあり、人にうつることで重症化する恐ろしい病気へと変わります。治療には駆除薬が有効ですが、症状がないため感染に気づくことが難しく、知らぬ間に感染が拡大する恐れのある病気です。このまとめではエキノコックス症についてご紹介します。

目次

犬のエキノコックス症とは

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エキノコックス症とは、エキノコックスという寄生虫が犬の体に寄生することで発症する感染症のことです。

エキノコックスは一般的にサナダムシなどと呼ばれている条虫の一種で、犬に感染してもほとんどの場合無症状ですが、腸に寄生するため稀に下痢や食欲不振などの症状を引き起こすことがあります。

エキノコックスについて

エキノコックスというのは条虫といわれる寄生虫の一種で、主にキツネや犬の腸に寄生しています。成虫の大きは1mmから4mm弱ほどで、0.03mmの極めて小さい卵を生み出します。

卵は感染した動物の糞と一緒に排出され、糞を通して野ネズミの体の中に卵が入り感染します。
エキノコックスに感染した野ネズミを捕食することでキツネや犬に感染してしまいます。

エキノコックスは人に感染する

エキノコックスは他の条虫と違い、犬に感染してもほとんど症状が出ることはありませんが、犬から人に感染することで重大な感染症を引き起こします。

そのためエキノコックスは日本の感染症法の4類感染症に指定されており、診断した医師はすぐに保健所に届出を出さなければなりません。

エキノコックスが人に感染すると5年〜20年という非常に長い潜伏期間を経て呼吸器症状や神経症状や肝機能不全などの症状を引き起こします。

非常に致死率の高い危険な病気で、早期に治療をおこなわなかった場合、約90%の人が死に至るといわれています。

犬のエキノコックス症の症状

・食欲不振
・下痢
・無症状

食欲不振、下痢

条虫が小腸に寄生することで、軽い下痢や食欲不振などの症状がでることがあります。

無症状

犬がエキノコックスに感染した場合、ほとんどの犬は何の症状も出ません。

しかし、目立った症状が出ないだけでエキノコックスには感染しているため飼い主や周囲の人に感染する恐れがあります。

飼い主は犬がエキノコックスに感染したことに気づくことが難しいため、知らず知らずのうちに感染が広がってしまう可能性があります。

犬のエキノコックス症の原因

エキノコックス症は主にエキノコックスに感染している「中間宿主」を食べることで経口感染します。

中間宿主から感染

エキノコックス症はエキノコックスに感染している動物を犬が捕まえて食べることで感染します。

まずエキノコックスの卵が含まれた糞を野ネズミが食べることで卵が孵化して、エキノコックスが野ネズミに寄生します。

その後その野ネズミを犬やキツネが食べることでエキノコックス症を発症します。
野ネズミのような動物のことを中間宿主といい、最終的に寄生する犬やキツネのような動物のことを最終宿主といいます。

エキノコックスは野ネズミのような中間宿主の体内に入らなければ卵から幼虫へと成長することができません。

その後幼虫の状態で最終宿主である犬やキツネの体内に入ることで成虫へと成長して卵を散布し、宿主の糞と一緒に排出されて広がります。

犬のエキノコックス症の検査法、治療法

エキノコックスの検査方法
・検便検査

エキノコックスの治療方法
・投薬治療

検査方法

条虫症の検査は肛門を詳しく観察したり、検便によって糞中の条虫やその卵を検査します。

検便の場合は顕微鏡を使って糞を確認しますが、豆状条虫とエキノコックスの卵は非常によく似ているため識別することが難しいといわれています。

投薬治療

エキノコックスは駆除薬を投与することで治療することができます。
多頭飼いしている場合は、1匹からしか症状が出ていない場合でも全ての犬に駆除薬の投与をおこないます。

エキノコックスの駆除薬には「プラジクアンテル」という薬剤を使用することでほぼ100%駆除することができます。

犬のエキノコックス症の予防法

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ネズミやリスを捕食させない

飼い犬がエキノコックスに感染する可能性はほとんどありませんが、エキノコックスに感染しているネズミやリスを捕食することで感染する可能性があります。

特に北海道はエキノコックスの発生が多い地域で、野生のキタキツネのおよそ4割がエキノコックスに感染しているといわれています。

そのため中間宿主であるネズミ、リスなどがエキノコックスに感染している可能性もあり、家の中にネズミやリスが入ってきた場合や、放し飼いで飼っている場合などは捕食しないように注意する必要があります。

特に家の中にネズミが巣を作るような環境にならないように気をつけることが大切です。

Q&A

エキノコックスはどのようにして飼い犬から人へと感染しますか?

エキノコックスにとって人はネズミやリスなどと同じ中間宿主にあたるため、ネズミやリスが感染するときと同じ経緯で感染します。

つまりの卵が口の中に入ることにとって経口感染してしまいます。
エキノコックスの卵はエキノコックスに感染している犬の糞に含まれているので、もし飼い犬がエキノコックス症になっている場合は、飼い犬の糞に付着している卵が口に入ることで感染してしまいます。

エキノコックスが人に感染した場合はどのような症状が出ますか?

感染してから5~10年は無症状状態が続きます。その後、肝臓内の胆管や血管が塞がれ、肝機能障害を引き起こします。

末期状態になると重度の肝機能不全となり、血流に乗ったエキノコックスが肺や脳、骨髄など、さまざまな臓器に転移します。

治療をおこなわずに5年以上が経過してしまった場合の致死率は70%以上になり、10年後には90%以上の確率で死に至ります。

人にエキノコックスが感染した場合は駆除薬を使用することで完治しますか?

エキノコックスの駆除薬であるプラジクアンテルは人が感染した場合には効果がありません。
プラジクアンテルは成虫にしか効果がなく、中間宿主である人間にはエキノコックスの幼虫が寄生しているため駆除薬で駆除することができません。

人などの中間宿主の場合、治療には患部の外科的切除をおこなう必要があります。

北海道以外でも感染することはありますか?

2006年に埼玉県で捕獲された犬からエキノコックスが発見されたという報告があります。

動物の輸入や移動がさかんにおこなわれるようになっているため、北海道以外で感染する可能性は十分にあるので注意しましょう。

ポイント

エキノコックス症は飼い犬への感染は稀で、感染した場合も多くが無症状なので犬にとっては特に致命的な感染症ではありません。しかし人にとっては非常に恐ろしい寄生虫なので、犬への感染を防ぐ必要があります。感染することは稀ですが、ワクチンがないため確実に防ぐ方法はなく、できるだけネズミやリスが家に入らないように駆除することが大切です。

また日本以外にも中国、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、トルコ、北インド、イランなどでも発生が確認されており、アメリカ合衆国やヨーロッパでは感染が拡大しつつあるそうなので、北海道だけでなく、海外へ行く場合も注意する必要があります。