猫の耳カットにはどんな意味が?左右で違う理由や痛みやTNR活動について

野良猫の耳をよく見てみると、耳の先がVの字にカットされていると思います。このカットには不妊手術や去勢手術をしたという意味があり、オス猫は右耳、メス猫は左耳という性別による違いもあります。一見すると痛そうなのでかわいそうだと感じる人もいるかと思いますが、麻酔を行った上で処置するため痛みを感じることはありません。また、カットされた耳の形から「さくら耳」や「さくら猫」と呼ばれることもあります。

目次

猫の耳カットって?

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街を歩いている時に野良猫の耳を見てみると、左や右の耳の先にVの字の耳カットがあってあれはなんだろう?と思ったことはありませんか?

もしかして虐待?怪我をしたのかな?と思った人もいるかもしれませんが、この耳カットにはちゃんとした意味があります。
猫につけられている耳カットについて見ていきましょう。

耳カットにはどんな意味がある?

野良猫の耳をカットすることには重大な意味があります。
これは「公益社団法人 動物基金」などが推奨する地域猫活動「TNR活動」によって、野良猫たちがすでに不妊手術や去勢手術が行われたことを証明する証です。

もし、耳がカットされていなかった場合は、麻酔と手術という猫にとって命の危険のあることが2回も行われてしまう可能性があるので、Vの字カットにはそれを防ぐという大切な役割があります。

さくら猫と呼ばれることも

Vの字にカットされている耳の先が桜に似ていることから、耳カットではなく「さくら耳」や「さくら猫」と呼ばれています。

昔はピアスをつけていたことも

あまり見られませんが、避妊去勢手術済みの証として耳の先をVの字にカットするのではなく、ピアスをつけて証明していたこともありました。
現在でもカットするのはかわいそう、見た目が痛そうなどの理由からピアスをつけることもありますが、ピアスの場合はどこかに引っかかったり喧嘩の時に外れてしまう可能性があります。

外れてしまっていた場合、メスは手術を行うまで避妊手術済みかどうかを判断できないので、耳カットが推奨されています。

また、稀にVではなく真っ直ぐカットすることもありますが、その場合も避妊去勢手術が行われた証なのか喧嘩などでできた傷なのかが判断できない場合が多いので、明らかに人為的なVの字カットが推奨されています。

左右や形が違う理由は?

カットする耳はオスの場合は右耳、メスの場合は左耳など、一目見ただけでその猫がオスかメスかを見分けることができるようにルールを設けている地域もありますが、このルールは地域によってあったりなかったりします。

そのため、Aの地域では左耳で統一されていたので左耳しか見ておらず、誤って捕まえてしまうということもあります。
また、形もVの字が推奨されているだけで決まっているわけではないので、Vが小さかったり大きかったり、両耳をカットしている場合もあります。

TNR活動って?

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地域猫活動である「TNR活動」は、世界中で行なわれているボランティア活動で「T=トラップ」「N=ニューター」「R=リターン」という言葉の頭文字から作られました。

まずは捕獲器などを仕掛けて野良猫を捕まえ、不妊去勢手術を受けさせた後に元の場所に戻すという活動です。
この活動は地域住民やボランティア団体などによって行われており、耳カットを済ませた猫は地域猫としてその人たちに暖かく見守られます。

地域猫って?

TNR活動によって不妊去勢手術を受けた猫のことを「さくら猫」や「地域猫」と呼びます。

手術が行われているため子供を作ることはできず、一代限りの命にはなりますが、その分地域の人たちがみんなでご飯をあげたり可愛がることで、暖かく見守っていこうという気持ちが込められた呼び方です。

地域の人たちによってトイレの掃除や、定期的にご飯を与えるなどが行われているのでゴミ荒らしや糞尿被害も防がれています。
また、頭数も減っているため鳴き声などの騒音問題も減ってきています。

猫にご飯を与えている人の中にはTNR活動を行っている人も多く、自分の時間やお金を使ってでも猫たちに幸せになってもらいたいからこその行動なので、さくら猫や地域猫には「愛され猫」という意味もあります。

TNR活動には助成金が出る

野良猫を不妊去勢手術するためには、病院によって異なりますが手術費用がかかります。
しかし、世界的にも推奨されているTNR活動には地域によっては助成金が出ます。

また、「公益財団法人どうぶつ基金」に申請した場合も助成金を出してくれます。
さらにどうぶつ基金の考えに賛同した動物病院で手術を行った場合は、普通の手術費用よりもさらに安価で手術を行ってくれるため、助成金を考慮するとほとんど無料でできる場合もあります。

このように地域の行政や法人、ボランティアの人たちが一体となって猫たちのためにTNR活動がどんどん促進されています。

なぜ野良猫に不妊去勢手術は必要なの?

平成26年の環境省の調べでは、1年間に約79,000もの猫たちが行政によって殺処分されており、さらにこの中の多くは子猫だと言われています。

猫の繁殖力はかなり強く、生後半年頃から出産可能な体になり、1回の出産で5〜7匹の子猫を産むためメス猫は一生の間に50〜150匹も産むと言われています。劣悪な環境で暮らしているため、産まれて間もない子猫は体力的にすぐに命を落としてしまうことも多いです。

野良猫の増加による問題

現在の社会は人間社会なので、野良猫が増えることで様々な問題が起こってしまいます。

糞尿被害や鳴き声などの騒音問題やゴミ荒らしなどの人にとって不都合な問題だけじゃなく、猫たちにとっても喧嘩、餌の奪い合い、縄張り争い、怯えて暮らす猫の増加など、お互いにとって一概には増え続けることがいいことだと言えない状況です。

不妊去勢手術は必要なこと

猫たちにとっても人間にとっても問題が起こってしまうだけじゃなく、新しい命が生まれる喜びよりも殺処分や事故、栄養失調などの様々な要因によって失われる命がかなり多いので、TNR活動によって不妊去勢手術を行うことは人と猫が共存していくために必要なことなのかもしれません。

実際にこの活動が始められてから殺処分の数も減少傾向にあるので、効果が期待できる方法だということが世界的に証明されています。

耳カットは痛そうだけど大丈夫なの?

TNR活動が全ての人に浸透しているわけではないので、耳をカットしている猫を見かけた時にかわいそうだと感じる人もいるのではないでしょうか?ですが、しっかりと麻酔を行っている状態でカットされており、ほとんど出血することもありません。

多少の出血があったとしても、しっかり止血するなどの処置が行われているので安心です。
痛みを感じることもなく、獣医師が丁寧に行うため大丈夫だと言えます。

さくら猫を街で見かけたら

野良猫を見かけた時に耳をチェックしてVの字にカットされていた場合は、不妊去勢手術を受けたさくら猫です。
手術を受けているのでこれ以上増えることはなく、地域の住民やボランティア団体の人たちから愛されている地域猫なので、可愛がってあげたりご飯をあげたりして一代の命を暖かく見守ってあげましょう。

ポイント

猫の耳カットには野良猫たちを愛する人たちの思いと、不妊去勢手術済みだとすぐに見分けることで何度も麻酔や手術などの猫の負担になることを避けるためという思いが込められていました。TNR活動によって確実に猫の殺処分頭数は減少傾向にありますが、現在でも無責任に飼い猫を保健所に連れていく飼い主さんが多いのが現状です。

飼い猫が出産した子猫を育てきれないからと保健所に連れていき、その子猫たちに里親が見つからなくて殺処分になってしまう頭数は依然改善されていないそうなので、野良猫と共存する社会を目指すとともに飼い主さんたちもしっかり責任を持って育てるように心がけることで悲しい猫たちを減らすことができるのではないかと思います。