犬と赤ちゃんが一緒に暮らすときに気をつけたいアレルギーや病気、対策について

人間の赤ちゃんと犬を一緒に住ませるときに特に気になるのが、犬アレルギーや病気だと思います。赤ちゃんが犬アレルギーを持っている場合、犬と触れ合うことで湿疹が出たり、ぜんそくなどを引き起こすことがあります。また、犬は様々な菌を持っているため、免疫力が低い赤ちゃんと接触することで何らかの感染症を引き起こす恐れもあります。ここでは犬と赤ちゃんが同居するときに注意したいアレルギーや病気をご紹介します。

目次

赤ちゃんがいる環境で犬を飼っても大丈夫?

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もともと犬を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれた場合、犬と赤ちゃんを同居させることになります。そうなると犬と一緒に生活させることで生まれた赤ちゃんに悪影響はないのか気になる人も多いと思われます。

赤ちゃんは免疫力が弱い

犬と赤ちゃんを同居させるときに、特に気になるのは衛生、健康面での問題だと思われます。赤ちゃんは免疫力が弱いため、細菌やウイルスなどの感染症を大人と比べて数倍引き起こしやすいと言われています。

犬はいろいろな菌を持っていることがあり、同居させることで赤ちゃんが何らかの感染症を引き起こしてしまう可能性があるので、一緒に生活させるためには衛生管理を徹底することが重要となります。

犬を預けるのはやめよう

生まれたばかりの赤ちゃんと犬を同居させることは、動物を飼っていない環境に比べると赤ちゃんが何らかの病気を引き起こす可能性は高くなるかもしれません。しかし、だからといってよその家にしばらく犬を預けるのは良くありません。

赤ちゃんがある程度大きくなってから再び家に犬を呼び戻した場合、犬は見知らぬ赤ちゃんが飼い主さんの注目を集めて家族の中心になっている状況に困惑してしまい、赤ちゃんと犬が良い関係を築くのを妨げてしまう可能性があります。そうなると問題行動を引き起こしたり、トラブルの原因となりかねません。

また、野生動物と違って家庭で飼っている犬の場合は、危険な細菌を持っている可能性が低いという意見もあるため、赤ちゃんが生まれた場合は神経質になって犬を預けるよりも、健康面に気を配って同居させることが望ましいと思われます。

感染症に注意しよう

先ほども触れましたが、赤ちゃんは免疫力が弱いため大人よりも重大な感染症を引き起こす可能性が高いです。

特に犬などの動物は人間にはない様々なウイルスや細菌を持っている場合があります。そのため、ペットが何らかの感染症を発症していると赤ちゃんに移ってしまう可能性もあるので、十分に注意しましょう。

人獣共通感染症

犬の感染症の中には、犬だけでなく人にも感染する「人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)」と呼ばれるものがあり、犬がこうした感染症を発症していると同居している赤ちゃんにも感染する恐れがあります。特に犬の唾液や糞尿には注意しましょう。

唾液や糞尿が感染の原因に

細菌は唾液や糞尿に含まれていることが多いです。そのため、これらに接触すると犬から赤ちゃんへと細菌やウイルスが移る原因になります。
特に犬はコミュニケーションをとるために相手を舐めるので、何らかの感染症を発症している場合は注意しなければなりません。

また、赤ちゃんは何でもすぐに口に入れてしまうので、犬の糞や尿を直接触って口に入れたり、自分の糞や尿が付着した犬と接触することで口に入れてしまう場合があります。
細菌や寄生虫によっては便をすると同時に周囲に広がってしまうこともあるので、犬の異変に気付いた場合はすぐに病院へ連れて行きましょう。

犬のアレルギーについて

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感染症だけでなく、人間の赤ちゃんと犬を同居させるときに注意したいのが「犬アレルギー」です。赤ちゃんが犬と触れ合うことでアレルギーを引き起こすと咳や鼻水、湿疹などの様々な症状を引き起こすようになります。

アレルギーとは

人間の体には細菌やウイルスなどの外敵から自分の体を守るための「免疫機能」があります。
しかし、この免疫機能がいろいろなものに反応してしまうことがあり、本来反応しないはずのあらゆるものに過剰に過剰に反応してしまうため、反対に体に害を与えてしまいます。これをアレルギーと言い、アレルギー反応を引き起こす素因となる物質のことを「アレルゲン」と言います。

アレルギーには特定の食べ物を食べることで引き起こす食物アレルギーや、金属アレルギーなど特定のものに触れることで発症する「接触性皮膚炎」などいろいろな種類がありますが、これらと同じように犬に触れることでアレルギー反応を引き起こす「犬アレルギー」というものがあります。

アレルギーの原因

犬アレルギーをはじめ、食物アレルギーやアトピーなどの様々なアレルギーを持っている人は先進国を中心に増えている傾向があります。

なぜアレルギーになるのかという原因は医療の発達や、衛生環境が整備されたことで、免疫機能の正しい発達が行われにくくなっているという説や、排気ガスやハウスダストなどの大気汚染や環境の変化、洗剤や日用品に含まれて居る化学物質の影響、欧米食の摂取が増えたことや食品添加物による食生活の変化などが関係しているなど様々な意見がありますが、はっきりとしたことは分かっていません。

犬アレルギーの症状

赤ちゃんが犬アレルギーを引き起こした場合、目や体が痒くなる、充血したり涙が出る、体に発疹ができる、くしゃみや咳をする、鼻水が止まらなくなるなどの症状を引き起こします。

反応の強さには個人差があるため、症状は赤ちゃんによってまちまちですが、ひどい場合は喘息を引き起こしたり呼吸困難になってしまうこともあります。

犬アレルギーの原因

どうして犬アレルギーを引き起こすのかは解明されていませんが、主に犬の毛やフケ、唾液、油や体液、排泄物などを吸い込んだり、舐めることで発症すると言われています。また、直接犬が原因ではなく、犬に寄生しているノミやダニが原因となる場合もあります。

そのため、赤ちゃんがアレルギー反応を引き起こした場合は、血液検査を行ってアレルギーの原因を特定することが大切です。

犬アレルギーの治療法

犬アレルギーを完治させる治療法はありません。そのため、ひどい場合は症状を抑えたり軽減するための薬を飲ませることが一般的です。
しかし、人によってはしばらく犬と一緒に生活をすることで耐性がついてアレルギーを引き起こさなくなったというケースもあります。

アレルギー反応を引き起こしにくい犬種

犬の中には犬アレルギーを持っている人でもアレルギー反応が出にくい犬種がいます。その人のアレルギーの強さや、犬の毛や唾液などアレルゲンとなっているものもよっても異なりますが、以下の犬種は一般的にアレルギー反応が出にくいとされています。

・トイ・プードル
・パピヨン
・マルチーズ
・ヨークシャー・テリア
・ミニチュア・シュナウザー

これらの犬種は抜け毛が少なく、フケや皮膚の油が少ないため、アレルギー反応を引き起こしにくいと言われています。
実際にフィギュアスケート選手の浅田真央さんは犬アレルギーを持っていますが、トイ・プードルを飼っています。多くの人は犬の毛やフケなどがアレルゲンということが多いため、抜け毛が少ないこれらの犬種だと発症しなかったり、症状が軽度な場合があるのでしょう。

病気やアレルギーを防ぐためには

犬によって赤ちゃんがアレルギーや感染症を引き起こさないようにするためには、生活環境を整える、犬と赤ちゃんのスキンシップに注意する、犬の手入れを行うなどを心がけることが大切です。

犬の毛や糞はこまめに片付ける

犬の毛や糞は赤ちゃんがアレルギーや感染症を引き起こす最も大きな原因となります。部屋の中に犬の毛が散らばると空気中に舞ったり、床に座ることで体についてしまいます。犬アレルギーの多くは犬の毛が原因となっていることが多いため、こまめに掃除することが重要となります。

また、犬がトイレをしたらなるべくすぐに片付けましょう。犬の糞には細菌やウイルス、寄生虫などが付着しているので、病原体を放置することで周囲に広がる恐れがあります。特に犬が何らかの感染症を引き起こしている場合は、周囲の消毒も行いましょう。

犬と赤ちゃんのスキンシップに気を使う

犬の唾液にはたくさんの細菌がいるので、舐められることが感染症を引き起こす原因になる可能性があります。
舐めるという行為は犬にとって相手とスキンシップをとるための行動となりますが、赤ちゃんはまだ免疫力が十分ではないため、舐めさせるのはあまり良くありません。特に何らかの感染症を発症している疑いがある場合は近づけないようにしましょう。

犬に問題がないような場合でも、赤ちゃんの口を舐めさせるのは良くありません。犬と赤ちゃんを触れ合わせることは大切ですが、口を舐めようとした場合はすぐに間に入ってやめさせるようにしてください。
また、犬の唾液がアレルギーの原因となることがあるため、赤ちゃんにアレルギーの症状が見られる場合は舐めさせるのをやめさせましょう。

犬の手入れを行う

犬のフケや皮膚の油がアレルギーの原因となります。被毛にはノミやダニなど何らかの寄生虫が付いている可能性もあるので、ブラッシングを行ったり、シャンプーをするなど定期的に犬のケアを行うことが大切です。

定期的な手入れによってフケや油、寄生虫を取り除くことで、より安全に赤ちゃんと触れ合わせることができるようになります。

赤ちゃんと同居させるときに注意したい病気

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狂犬病

「狂犬病(きょうけんびょう)」は狂犬病ウイルスに感染することによって発症する病気で、発症するとほぼ100%の確率で死んでしまいます。狂犬病という名前ですが、犬だけでなく人を含有する大方の哺乳類に発症します。

感染した動物の唾液が傷口に入ることで移るため、狂犬病を発症している犬に噛まれることで発症します。
しかし、日本では1956年以降発症が確認されていないため、国内から完全に排除した「清浄地域」と呼ばれています。また、狂犬病が発症する前にワクチン接種をすることで未然に防ぐことができます。

狂犬病について

レプトスピラ症

レプトスピラ症とは「レプトスピラ菌」に感染することで発症する感染症のことで、犬だけでなく人、猫、うさぎ、牛、豚、羊など多くの動物に感染します。

レストスピラ症を引き起こしている犬の尿や体液を通して感染することがあり、レストスピラ菌が感染すると3日〜3週間の潜伏期間の後、頭痛、発熱、腹痛、吐き気、嘔吐、体の痛みがあらわれたり、皮膚に発疹が出ることがあります。

レストスピラ症とは

ブルセラ症

ブルセラ症とは「ブルセラ・カニス菌」という細菌が移ることによって発症する病気のことで、人や犬以外のペットにも移ることがあります。
犬が感染するとオス犬は精巣が腫れる、縮むなどして正常な精子を作れなくなり、メス犬は不妊症になったり、妊娠している場合は流産や死産することがありますが、ほぼ症状が出ない場合もあるため、犬が感染していることに気が付かないこともあります。

ブルセラ症によって流産した犬の汚物や排出物にはブルセラ菌が含まれているため、これらに触れることで人にも移ることがあり、発症すると2週間から1ヶ月ほどの潜伏期間を経て、高熱が出る、体がだるい、関節が痛い、寒気がする、頭痛が出るなどの症状が出ます。また、男の子の場合は精巣に炎症を起こして無精子症になる危険もあります。

ブルセラ症

ライム病

ライム病とは「ボレリア菌」が感染することで起こる病気のことで、主にマダニに噛まれると感染します。
犬がライム病を発症するとリンパ節や関節が腫れて痛みが出たり、歩くことが困難になってしまう場合があります。

人の場合はマダニからだけでなく、ボレリア菌に感染している犬の唾液から感染することもあり、発症することで発熱、寒気、体がだるい、関節が痛いなど、インフルエンザと同じような症状が出たり、全身に回ることで皮膚炎や神経症状、不整脈などを引き起こすようになります。

日本では主に北海道や長野県で多く発症が報告されています。

ライム病

サルモネラ菌

サルモネラ菌は「サルモネラ属」に属する菌のことで、大腸菌と同じ腸内細菌の一種です。その種類は2000以上存在しており、犬や人などの動物の消化管に生息しています。

唾液などから菌が経口感染することもありますが、サルモネラ菌は低温や乾燥に強いので、乾燥した糞に付着した場合は長期間生息することができると言われているため、糞からも感染します。

感染した場合は食中毒などの症状を引き起こします。人の食中毒の原因菌なので、多くの人がサルモネラ菌によって食中毒になっています。

破傷風

「破傷風(はしょうふう)」とは「破傷風菌」が犬に感染すると発症する感染症のことで、発症すると神経に異常をきたし、口元の麻痺や筋肉痛などの症状が出るようになります。

破傷風は人にも感染する病気で、破傷風菌に感染している犬に噛まれることで移ることがあります。
発症すると舌のもつれ、顔のゆがみや肩こりなどが出始め、その後徐々に筋肉が緊張、硬直するようになり口が開かないなどの症状があらわれます。悪化すると顔の筋肉が麻痺するようになったり、痙攣や硬直が体全体に広がり、ついには呼吸器が痙攣して呼吸困難を引き起こします。

破傷風

白癬症

「白癬症(はくせんしょう)」とは「犬小胞子菌」「石膏状胞子菌(せっこうじょうほうしきん)」「白癬菌」などの真菌により移ることで発症する皮膚疾患です。

真菌が犬に感染することで発症するため「皮膚真菌症」と呼ばれることもあり、症状が進行すると脱毛が円形に広がっていきます。人の水虫もこれらの真菌が感染することが原因なので、犬から人へ感染することがあります。

白癬症

人にも感染する寄生虫

感染症は細菌やウイルス、カビだけではなく、寄生虫が原因となることもあります。

エキノコックス

エキノコックスとは、犬の体にいる寄生虫のことで「サナダムシ」と呼ばれる条虫です。犬が感染すると、腸に寄生して下痢や食欲不振などを起こし、殆どは無症状です。

エキノコックスは犬に感染しても殆ど症状は出ませんが、犬から人に感染すると重い感染症を起こします。
エキノコックスが人に感染すると5年〜20年という非常に長い潜伏期間を経て呼吸器症状や神経症状や肝機能不全などの症状を引き起こします。

非常に致死率の高い危険な病気で、早期に治療を行わなかった場合、約90%の人が死に至ると言われています。

エキノコックス

条虫症

「条虫症(じょうちゅうしょう)」は「ウリザネ条虫」「豆状条虫」などと呼ばれている寄生虫が寄生することで発症する病気です。
これらもエキノコックスと同じくサナダムシの一種で、犬の腸に寄生して下痢や食欲不振などを引き起こします。

主にノミが犬の口に入ることで感染し、人の場合も同じように経口感染します。大人であればほとんど無症状ですが、赤ちゃんが感染すると腹痛や下痢などを引き起こします。

条虫症

回虫症

「回虫症」とは「トキソカラ症」ともいい、「犬回虫」「犬小回虫」などが寄生することにより発症する病気です。

犬回虫、犬小回虫は犬の腸に寄生し回虫症を発症させ、食欲不振や下痢、嘔吐などの症状を引き起こします。
免疫力の弱い赤ちゃんなどは回虫症を発症することがあり、感染している犬の糞に含まれている回虫の卵が口に入ることで感染します。

回虫症

鉤虫症

「鉤虫症(こうちゅうしょう)」とは「鉤虫」が犬の身体に入ることで感染する病気です。
鉤虫の幼虫は小腸に住みつき、小腸壁に噛み付いて血を吸うことで貧血や下痢などの症状を引き起こします。

鉤虫の幼虫は外へ排出してから1〜2週間で自ら動き、皮膚から感染するようになるため、飼い犬が発症しているなどでこの状態の幼虫がいると、人の皮膚から入って移ることがあります。

人に感染すると一時的に皮膚が炎症を起こしたり、痒くなるなどの症状が出るようになります。

鉤虫症

ポイント

赤ちゃんは免疫力がまだ十分でないため、犬と接触することで何らかの感染症を発症する可能性がありますが、きちんと環境を整えて、ケアをしてあげれば犬と赤ちゃんを同居させても問題はありません。むしろ赤ちゃんが成長するまで犬を預けてしまうと、その後のコミュニケーションがスムーズにいかなくなることもあるので、注意点を守って同居させる方が良いと言えるでしょう。ただし、赤ちゃんや犬の状態によってはアレルギーや感染症を引き起こす原因となるため、スキンシップをとらせる場合は注意が必要です。