犬の社会化トレーニングとは?行う時期や失敗しないための注意点

犬の社会化は成犬になってからではとても難しくなります。そのため、子犬の時期に社会化に不成功のままでいると後々、音や景色、人、犬などを恐れる犬になってしまいます。犬の社会化の時期はワクチンの時期と重なるため、トレーニングは簡単ではありませんが、この時期の経験が犬の一生を左右するので、きちんと取り組む必要があります。ここでは犬の社会化の時期や方法、社会化させるときの注意点などをご紹介します。

目次

犬の社会化とは

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「社会化」という言葉をご存知ですか?社会化とはある社会に新しく加わったものが、その一員として順応するために必要な知識を身につけていくことを言います。

犬の社会化も基本的にはこれと同じで、これから暮らしていく人間社会に慣れ親しんでいくことを指します。

人間社会は刺激がいっぱい

犬を社会化するためには、人間社会で生活する上で触れることになるいろいろなものに慣れさせていく必要があります。
例えば、飼い主さんや家族以外の人間、犬、街の景色、様々な音など、毎日生活をしていく上で見たり聞いたり、触れ合ったりする可能性があるものに順応させていきます。

犬の社会化はなぜ必要?

それではなぜ犬には社会化が必要なのでしょうか?実は社会化には犬が人間社会で生活する上でとても重要な意味があります。

社会化の重要性

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社会化ができていない犬には以下のような問題が出てきます。

・神経質で臆病になる
・音を怖がる
・散歩が嫌いになる
・留守番ができない
・ストレスを感じやすくなる
・人や犬とうまく関われない
・問題行動を起こしやすくなる

臆病で神経質な犬になる

社会化が十分でない犬は、臆病で神経質な性格になってしまう場合があります。
基本的に犬は臆病で警戒心が強い動物です。これは野生の頃の名残りで、聞き慣れない音やにおいなどに敏感に反応して警戒します。
そのため、きちんと社会化ができていない犬は見知らぬ人や犬、景色、音など人間社会で生活をする上で出会うことになるありとあらゆるものを警戒したり、怖がるようになってしまいます。

反対にきちんと社会化ができている犬は人や犬、周りの景色や音を怖がらなくなるため、友好的で穏やかな犬になります。

音を怖がる

十分に社会化ができていない犬は、日常生活で聞こえてくる様々な音を怖がるようになります。
例えば、掃除機やドライヤーのモーター音など、自然界にはない不快な音が当てはまります。

社会化ができていない犬の場合は正体が分からないこれらの音を怖がってしまうため、家のなかで掃除機やドライヤーを使うたびに犬は怯えて過ごすことになってしまいます。
特に犬は人間に比べて優れた聴力を持っているため、大きい音が苦手です。そのため、バイクや車のエンジン音、工事の騒音なども怖がってしまいます。

しかし、十分に社会化ができているとこれらの音に対する耐性があるので、動じることなく生活することができます。

散歩が嫌いになる

犬といえば散歩が大好きというイメージがありますが、実際に散歩好きな犬は多く散歩の時間になると嬉しそうにはしゃぐことがあります。
犬にとって重要な意味があり、犬を飼う人にとっても犬と散歩に出かけることは楽しみの一つです。

しかし、子犬の時期にほとんど家の外から出ずに育ったような社会化が不十分な犬は道中で出会う人や犬、バイクや車、外の景色などに慣れていないため、これら全てを怖がってしまいます。そのため散歩を嫌がるようになってしまい、外へ連れ出しても震えて歩くことができなくなります。

ストレスを感じやすくなる

このように犬が十分に社会化できていないと、いろいろなものを怖がるようになってしまいますが、当然不安や恐怖心を感じるとストレスが溜まってしまいます。
そのため、環境次第では普段から常にビクビクと怯えて生活をすることになるので、犬にとって大きなストレスになってしまう可能性があります。

留守番ができない

社会化ができていないと、一人で留守番することができなくなる場合があります。犬は基本的に一人で過ごすことが苦手な動物です。
そのため、飼い主さんが不在で一人で留守番をしているときは心細くなり、不安を感じてしまいます。

なかでも社会化ができていない犬は臆病で神経質な場合が多く、様々な音を怖がってしまう傾向があるため、飼い主さんがいないことによる不安と慣れない音などに対する不安から留守番中に家を散らかしてしまったり、物を壊す、トイレに失敗するなどの問題行動を引き起こすようになってしまいます。

人や犬とうまく関われない

社会化ができていない犬は家族以外の人を怖がってしまうため、スキンシップが取れなかったり、恐怖心から威嚇してしまうことがあるため、人やよその犬とうまく関われなくない場合が多いです。

犬にはお互いが触れ合うときの挨拶やルールがあります。社会化ができていない犬はこうしたルールを知らないため、仲間に入れてもらえないことが多く、相手との関わり方が分からないのでケンカになってしまうことも珍しくありません。

また、甘噛みの加減などができていない場合が多いため、じゃれ合いや遊びの甘噛みが痛く、相手に怪我をさせてしまうこともあるので注意が必要となります。

問題行動を起こしやすくなる

きちんと社会化していないと問題行動を起こしやすいです。
例えば社会化ができいない神経質な犬は、周りの音や見知らぬ人などをすぐに警戒してしまうためよく吠える犬になってしまいます。

他にも臆病なので、すぐによその人や犬を威嚇してしまったり、相手に噛み付いてしまうこともあります。
住んでいる環境によっては近所と騒音でトラブルになってしまったり、散歩中に誰かを噛んでしまうなどの事故につながる場合もあるので、犬と生活する場合、社会化は必要不可欠だと言えるでしょう。

犬を社会化させる時期

犬の社会化はいつでも行えるというわけではありません。時期を逃すと非常に困難になってしまうので、適切な時期に正しく行う必要があります。

犬の社会化期

犬が社会化するのに適した時期のことを「社会化期」と言います。社会化期の犬は初めて見るものや景色、音などに対する好奇心が警戒心や恐怖心を上回ります。

この社会化期はいろいろな動物、物、景色、音などに慣れさせる最適なタイミングとなるため、できるだけ多くの経験を積ませる必要があります。

社会化期は3ヶ月で終わる

犬によって多少異なることがありますが、基本的に犬の社会化期は生後12週〜14週ほどで終わってしまいます。
そのため、犬が生まれてからわずか3ヶ月ほどの間に、一生のうちに出会ったり、経験するであろう様々な刺激に慣れさせなければなりません。また、そうした経験を3ヵ月後も継続し、落ち着きがでてくる2〜3歳まで続けていく必要があります。

犬はたった1年ほどで大人になる動物だと言われているので、この社会化期が終わると犬の「見知らぬものへの好奇心」を警戒心や恐怖心が上回ってしまいます。そうなると社会化はとても困難になるので注意しましょう。

犬を社会化させよう

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犬を社会化させる場合は主に、人に慣れさせる、犬に慣れさせる、音や場所に慣れさせる必要があります。

人に慣れさせる

犬を社会化させる場合は、飼い主さんや家族以外の人とも問題なくコミュニケーションが取れるように慣れさせていく必要があります。

たくさんの人と触れ合わせる

犬を人に慣れさせる場合は、できるだけたくさんの人と触れ合わせることが大切です。そのため、友人などに協力してもらって触れ合わせたり、家の中で一緒に遊ぶなどしてもらいます。

また、公園など人がたくさんいるような場所に抱っこをした状態で連れて行ったり、テレビなどで人の声を聞かせるだけでも効果があります。
社会化期から大人になるまでの間に、継続してたくさんの人と触れ合わせることで犬は人を怖がらなくなります。

知らない人からおやつをもらう

人に慣れさせる場合は、飼い主さんや家族以外の人からおやつをもらうのが効果的です。友人に協力してもらい、直接手からおやつを与えてもらいましょう。

できるだけいろいろな人からもらったほうが良いので、性別や年齢などが違う人に協力してもらうとなお良いとされています。
そのため、子犬を抱っこして外に連れ出したときに「可愛い」などと声をかけてくれた人がいた場合は飼い主さんが持っているおやつをあげて欲しいとお願いしてみると良いかもしれません。

犬に慣れさせる

犬を社会化させる場合は、当然犬にも慣れさせる必要があります。物怖じせずコミュニケーションが取れるようにいろいろな犬と触れ合わせてみましょう。

ワクチンを打つまでは犬と触れ合うことができない

生まれてすぐに親犬や兄弟犬と離された犬は、他の犬とうまくコミュニケーションが取れない場合があります。
特にペットショップで購入した場合はそういう犬が多いので、いろいろな犬と触れ合わせて慣れさせる必要があります。

しかし、子犬の時期は免疫力が弱く感染症にかかりやすいため、ワクチン接種を行い、獣医さんの許可が下りるまでは他の犬と触れ合わせることができません。
「病原体を持たない兄弟犬」「他の犬と触れ合っていない子犬」「1週間以上散歩していない犬」などであればワクチンが完了していない子犬でも触れ合わせることができますが、これらが難しい場合は子犬を抱っこしたり、キャリーなどに入れた状態で犬が散歩している公園などに連れて行きましょう。

ただし、触れ合わせることはできないので、抱えた状態で見せてあげるだけにします。その後、ワクチンが安定したらすぐに散歩へと連れ出し、公園など近所の犬がたくさん集まる場所で穏やかな大人の犬と触れ合わせると良いでしょう。

パピーパーティー

動物病院やしつけ教室などのなかには、定期的に「パピーパーティー」を開催している場所があります。
パピーパーティーとは同じ時期の子犬を集めて社会化を促すイベントのことで、犬とコミュニケーションがとれていない子犬には貴重な機会となります。病院などでは無料で開催しているところもあるので、機会があれば積極的に参加してみてください。

また、2回目のワクチンが終わって散歩の許可が下りたら、公園などで継続的に他の犬と触れ合わせるようにしましょう。

音や場所に慣れさせる

大人になってから怖がってしまわないように、いろいろな音や環境に慣れさせましょう。

抱っこをして散歩へ連れて行く

”犬に慣れさせる”の項目でも触れましたが、子犬の時期は免疫力が低いため、ワクチンが安定するまでは犬を散歩させることができません。
そのため、ワクチンが安定するまでは抱っこした状態やキャリーなどに入れて犬を外へ連れて行くようにしましょう。

散歩では、車がよく通る場所や工事現場の近く、人がたくさんいる学校の近く、お祭りなど、できるだけいろいろな場所に連れて行って、いろいろな音を聞かせてあげることが大切です。
また、Youtubeなどから雷や花火、サイレンなどいろいろな音を小さい音量から聞かせて慣れさせるのも良いでしょう。

社会化させるときの注意点

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犬の社会化を行う場合は、いくつかの注意点があります。間違ったやり方をしてしまうと、反対にいろいろなものを怖がるようになったり、犬が怪我や病気を引き起こしてしまうことがあるので気を付けましょう。

ワクチン接種

社会化期である生後12週~14週は犬の免疫力が弱いため、感染症にかかりやすい時期でもあります。
子犬を社会化するためにはできるだけたくさんの犬と触れ合わせたり、いろいろな場所へと連れて行ったほうが良いのですが、感染症のリスクを考えるとワクチンが安定するまでは他の犬と接触させたり、散歩へ連れて行くのは避けたほうが良いでしょう。

主に最初のワクチンは生後8週間前後が一般的で、その後、2回目のワクチンを生後90日くらいに接種します。
通常は2回目でワクチン接種を終了し、その後散歩に備えるのですが、生後120日後くらいに3回目のワクチン接種を行う場合があります。これは獣医師によって意見が別れるため、いろいろな意見を聞いた上で判断するようにしましょう。

ワクチンの接種を終えてから抗体が安定するまでには、5日ほどかかると言われています。そのため2回のワクチン接種を受けた場合、初めて散歩へと連れて行ける時期は生後100日前後、3回受けさせた場合は120〜130日後になります。

しかし、犬を初めて外へ連れ出すタイミングが、2回目のワクチンが安定しはじめる生後100日目では遅すぎる可能性があります。
そのため、ワクチンが安定するまでは犬を抱っこした状態で犬と合わせたり、いろいろな場所に連れて行く必要がありますが、このときも抱っこしている子犬を他の犬と直接触れ合わせたり、不衛生なものを近づけたりしないように気を付けましょう。

子犬に無理はさせない

社会化期にはいろいろなものに慣れさせる必要がありますが、焦って無理をさせるのは禁物です。

社会化期は好奇心が恐怖心を上回る時期ではありますが、無理をさせると犬によっては怖がってしまう可能性があります。
犬は子犬の頃の記憶をとてもよく覚えているので、この時期に仲良くなった人のことを忘れないと言われています。
そのため、怖い経験をさせてしまうとその後もトラウマとして残ってしまい、慣れさせることがとても困難になるので、焦らずに少しずつ慣れさせていくことが大切です。

音がうるさい場所に連れて行く場合は、少し離れた場所で音に慣れさせてから近づいたり、人や犬が多い場所は子犬の様子を見て少しずつ慣れさせていきましょう。
また、ワクチンが安定した後によその犬と触れ合わせる場合は、なるべく大人しくて友好的な犬に協力してもらう必要があるので、避妊や去勢済みの大人の犬が良いです。CDやスマートフォンなどを使って音に慣れさせる場合は、最初は小さい音量からスタートして徐々に音を大きくしていくと良いでしょう。

ポイント

社会化期の過ごし方次第ではいろいろなものに怯えたり、問題行動を引き起こすような犬になってしまいます。大人になってからでは矯正することが困難なので、生まれてからの3ヶ月が、その後の犬の性格や一生に大きな影響を及ぼすと言えるでしょう。そのため、犬がペットとして人間の世界で生きて行くにあたって、社会化は必要不可欠な訓練となります。根気強くいろいろなものに慣れさせていく必要がありますが、子犬の頃に怖い経験をしてしまうとその後もトラウマとして残ってしまう可能性が高いので、焦らず慎重に行うことが大切です。また、パピーパーティーなどに参加する機会があれば積極的に参加するようにしましょう。